どうしてはり治療は効果があるの?

東洋医学においての『気』とは

気・血・水東洋医学の考え方として、『気・血・水』という概念があります。

『気』は活力があり休むことなく活動しており、次のような働きがあります。新陳代謝を推し進める働き体熱を保持する働き病気などから身を守る働き

『血』とは、血液を指しますが人が生きて行く中で身体の血を作り、体温の温存など心臓と共に大事な働きをしています。

『水』は、東洋医学的に言うと『津液』といいます。津(しん)は身体の表面を潤し汗や尿となって体外に排出され、液(えき)は身体の奥の骨や髄を潤し補っています。

この中の『気』は、普段の生活の中で、「誰かが来る“気”がする」、「間違っている“気”がする」など、みなさんもよく使っている言葉でもあります。

『気』とはつまり生命エネルギーの原動力のことで、『気』は1日に人の身体を50回も巡り、臓器や手足など諸器官を栄養していて、身体をいろんな病気から守っています。表面の『気』は昼間に25周巡り、夜に25周巡っているといわれており、いつも身体を守っているのです。

普段は何も見えず存在のわからない『気』ですが、人が生きて行くうえで非常に大事な働きをしているのです。

『気』の流れをよくするはりきゅう

巡っている『気』を川の流れを例にしてお話します。

誰でも、人の身体には経絡という『気』が12本、川となって流れています。そこには排水路のように、川から漏れた水が通れる小さな川もありますが、基本は12本の経絡がごく表面に存在しています。この12本の川は、人が生きて行く過程で非常に大事な活力になるので、どこかに『よどみ』ができると何かの違和感が出始めて、そのままにしておくと痛みや身体のだるさなどの症状に変わってきます。

『よどみ』ができるということは、『気』の働きを悪くしているということです。『気』の3つの働き(新陳代謝を推し進める・体熱を保持する・病気などから身を守る)を滞らせてしまうので、新陳代謝が悪くなって身体が冷え、身を守る機能が衰えてしまうのです。

その『よどみ』をなくしてあげなくてはなりません。その『よどみ』をなくす治療をするのがはりとお灸になる訳です。

『気』は身体のごく表面に流れていて、『よどみ』が現れるのは川の流れるツボの辺りです。そのツボにはりをすると、よどみがなくなって、さ~っと流れるようになるのです。はりをするとその場所が、初めに触った時から肌の質が変わっています。すごく硬かった所が緩み、少し冷えを感じた所が温まってきます。また、肌がふにょふにょとしていた所が締まったような感じになります。

整体院やマッサージで治らないこともあると思いますが、それは、痛みが出ているところをただ揉んで身体を圧迫しているだけで、『気』に働きかけていないからです。ぐいぐい圧しても『気』は流れないので、その時は気持ちが良くてスッキリした感じになっても、本来の「治った」ということにはならないのです。マッサージをして急に気持ちが悪くなることもありますが、これは『よどみ』を無理矢理圧しているので、血の流れも気の流れも詰まらせてしまい、それが元に戻ろうとするので気持ちが悪くなったりだるくなったりするのです。

経絡イメージ図

はりとお灸は、どうして効果があるの?

はりで身体の表面に流れている『気』のバランスを良くすることで、身体が本来もっている力(自然治癒力、免疫力)を向上させるのです。

痛みや不調の症状には、急性と慢性とがあります。急性症状は、ギックリ腰や急性腰痛、急なケガ、急な腹痛、発熱のことです。慢性症状は、長い時間ずっと痛いのを我慢してきて違和感があるけど何もしなかった、医者にかかったけど悪い所はないと言われそのままになっていた、などの症状です。

急性症状の場合、『気』に現れた『よどみ』も急にできたものなので、治療による効果が出やすく、治りは早いです。

逆に慢性症状は、長い年月を掛けて身体に蓄積している『よどみ』なので、よどみがにごりのようなどろどろした状態になり、表面だけではなく深部まで影響していることになります。ですので治療も急性の場合よりも難しく、時間もかかってしまいます。ですが、効果は必ず出て来ますので、諦めずに治療を継続することをお勧めしています。

また、鍼灸師は国家資格であります。国家が認めている鍼灸治療で、安全に安心して受けていただけます。

東洋医学の基本は『気』『血』『水』。もっと詳しくお話すれば奥が深く、ベテランの先生方でもわからない世界が宇宙の広さほどある東洋医学の思想。今、少しずつですが西洋医学の観点から東洋医学的が見直されています。この機会に『気』の活力を信じて、お身体の不調をなくしてみてはいかがでしょうか。